膝蓋下脂肪体の機能解剖学的な特徴とリリース時のコツについて。

膝関節疾患はもちろんですが、
膝関節を評価・治療を行う際に、必ずと言っていいほど評価しておきたい部位の1つに膝蓋下脂肪体があります。
この膝蓋下脂肪体が大切ということは多くの理学療法士が聞いたことがあると思いますが、
今回はこの膝蓋下脂肪体の解剖学や膝関節でも役割や位置付け。
評価方法から治療方法まで紹介していきます。
目次
膝蓋下脂肪体の機能解剖学
膝蓋下脂肪体の解剖学ですが、膝蓋下脂肪体は膝関節のパテラ下方に位置しています。
関節包より内側で滑膜より外側に位置するのが膝蓋下脂肪体です。
【膝蓋下脂肪体について】
膝蓋下脂肪体は、膝蓋靭帯と大腿骨顆間窩に付着する膝蓋下滑膜ヒダを隔てている。
だから、膝蓋下脂肪体の動きが出ないと、膝蓋腱、膝蓋靭帯、大腿四頭筋、FT関節の可動域制限に繋がる!!
滑膜は、関節運動を滑らかにする役割があるから、この辺の動きを出すのは重要。 pic.twitter.com/FsS94Dkevh
— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) February 2, 2018
上記の画像を見て頂ければイメージして理解出来ると思います。
この膝蓋下脂肪体の特徴として、、
膝関節周囲組織の中で、痛覚神経の分布が他の周辺組織より多いということが報告されています。
つまり、、
痛みの原因組織になりやすい。
ということです。
そして、膝蓋下脂肪体の機能として、、
- 膝関節伸展動作で前方に出てくる
- 膝関節屈曲動作で後方に入り込む
上記の様な動きが膝蓋下脂肪体の動きになります。
この様な動きをすることを前提として、、
本来は、膝蓋下脂肪体は、粘土の様に色んな形に形を変化させて柔軟性がある組織が脂肪体ですが、何らかの原因により脂肪体に硬さが出来てしまうことにより、膝関節の可動域制限や痛みに繋がります。
特に、、
膝関節伸展動作の際に、痛みや圧痛を伴うことが非常に多いです。
膝蓋下脂肪体の評価・治療ポイント
※詳細は上記の動画をご覧下さい。
動画の内容をザックリ解説していきますね。
膝蓋下脂肪体の評価ポイント
まず、、
膝蓋下脂肪体の評価としてのポイントは、膝蓋下脂肪体の機能解剖として、膝蓋下脂肪体は膝関節伸展動作で前方に出来きて、膝関節屈曲動作では後方に入り込む動きをします。
つまり、、
触診でしっかり膝蓋下脂肪体を確認できるのは膝関節伸展時のみです。
このことから、、
パテラ下方の組織の圧痛を確認した際に、膝関節屈曲位では圧痛はないが、膝関節伸展時にパテラ下方に圧痛が見られる人が結構な頻度で臨床では見られます。
どれはどういうことかというと、、
膝関節伸展をした時の、パテラ下方から前方に出てくる組織が痛みを拾っているということが評価から分かります。
膝関節伸展動作で、前方に出てくる組織は膝蓋下脂肪体しかないので膝蓋下脂肪体が関与していることが証明できるわけです。
膝蓋下脂肪体の治療ポイント
膝蓋下脂肪体の治療を行う際に押さえておきたいポイント
- 膝蓋下脂肪体は膝関節伸展時に前方に出てくる
- 膝蓋下脂肪体は粘土状の物質で本来柔らかい
- 膝蓋下脂肪体は膝関節前面で1ヶ所に集まりやすい
- パテラや膝蓋靱帯・膝蓋腱の動きを制限する
- 下腿の回旋を起こす原因になる
↑↑
この辺が膝蓋下脂肪体の特徴です。
つまり、、
膝蓋下脂肪体が原因になっていることを評価で確認出来たら、膝関節伸展位で治療をしましょう。
そして、
膝蓋下脂肪体は硬くなってしまって1ヶ所に固まったりしてしまっていることがよくあります。
パテラの下方をただほぐせば良いという問題ではなく、
膝関節前方のかつパテラの下方の部分で、
内側からか外側どちらの方が膝蓋下脂肪体の塊があるかを確認しながらアプローチが必要。
膝蓋下脂肪体が固まっている側から固まっていない側に向けて粘土を解しながら流す様にアプローチを行いましょう。
力学的なストレスを仮説する
膝蓋下脂肪体を評価・治療するということは、局所の評価・治療です。
しかし、、
もっと重要になってくるのが、「なぜ膝蓋下脂肪体が硬くなったか」
膝蓋下脂肪体にストレスが掛かっているため、
姿勢や動作からどういったストレスが膝蓋下脂肪体に生じているかを評価する必要があります。
まとめ
膝蓋下脂肪体の評価・治療ポイントを解説させて頂きました。
まだまだ膝蓋下脂肪体に関して分かってないことも多いと思いますが、現時点で自分が臨床現場で感じてることや膝蓋下脂肪体の機能解剖について解説しました。
膝蓋下脂肪体は膝関節を評価する際には必ずチェックしておきましょう。
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