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肩関節で最も重要な筋肉と言っても過言ではない「前鋸筋」について。

 
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愛媛松山市の理学療法士。病院に行かない文化を作り、健康に関するリテラシーを高めることをコンセプトに、痛み・スポーツ障害・姿勢改善・動作改善のコンディショニングを行なっています。一般向け・セラピスト向けに日常生活や臨床に役立つ身体に関する健康情報などを配信しています。詳しくはプロフィールまで…
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今回は、前鋸筋に絞った記事を書きます。

肩関節において前鋸筋は、最も重要な筋肉と言ってもいいくらいの位置付けです。

 

前鋸筋が機能しているかしていないかによって肩甲骨の安定性が分かり、肩甲上腕関節の可動制にも関与してくる非常に肩関節や胸郭においてキーマッスルになってくる1つになります。

 

そんな前鋸筋を臨床現場でみる時のポイントについて解説していきます。

 

前鋸筋の機能解剖学

 

<前鋸筋の解剖学>

 

起始:第1〜9肋骨側面

 

停止:肩甲骨内側縁

 

神経支配:長胸神経

 

作用:肩甲骨の安定化・肩甲骨の前方外側に引く・肩甲骨の上方回旋

 

上記が簡単な前鋸筋の解剖学。

じゃあもう少し深掘りして機能解剖学を考えていきましょう。

 

前鋸筋は大きく分けて、、

上束部と下束部に分けれます。

上記の画像を見て頂ければイメージしやすいかと思います。

 

  • 上束部:肩甲骨外転+下方回旋
  • 下束部:上方回旋+内側縁の安定

 

前鋸筋も広く付着している筋肉のため、上部と下部によっても多少作用が異なることを知っておくことが必要です。

 

また、拮抗筋として言われているのが「菱形筋」です。

菱形筋は、前鋸筋が肩甲骨内側縁から肋骨にかけて付着しているのに対して、菱形筋は肩甲骨内側縁から脊柱にかけて付着しているため、肩甲骨を挟んで拮抗した作用にあります。

 

そして、、

前鋸筋による肩甲骨の作用として、「上方回旋」「後傾」「下制」です。

もちろん肩甲骨を安定させるという作用が前提にありますが、肩関節を稼動する際に前鋸筋の働きとして重要になってくるのが、「上方回旋」と「後傾」と「下制」の動き。

 

しかし、、

臨床では、肩甲骨の前傾の動きや下方回旋の動きが出る人はいても、肩関節に問題がある人のほとんどが肩甲骨の安定化が出来ず、肩甲骨の上方回旋と後傾の動きが出にくいという特徴があります。

 

肩甲骨の身体での位置付け

前鋸筋の働きが、肩甲骨を肋骨に安定させるという役割は誰でもご存知の通りで、前鋸筋が作用してなかったり、長胸神経麻痺があると翼状肩甲骨になるのは有名ですよね。

 

この肩甲骨を安定化させる前鋸筋の役割ですが、、

身体における肩甲骨の位置付けをまずは理解しておく必要があります。

 

肩関節周囲のジョイント・バイ・ジョイント理論で考えると、、

  • 肩甲上腕関節:可動関節
  • 肩甲胸郭関節:安定関節
  • 胸椎:可動関節

 

上記の様な関節の役割があります。

 

「肩甲骨は可動域が広ければ広い方がいい。」

という話をよく耳にしますが、、

 

確かに肩甲骨が柔らかいということは大切ですが、ただ柔軟性があるだけでは、肩甲骨の動きと連動して上腕骨も可動しなければ肩関節の動きにエラーが生まれるため、肩甲骨が動けばいいという問題ではありません。

 

肩甲骨には安定性が前提としてあった上で、上腕骨の動きに追従して動くこと。

「必要な方向に必要な可動域の範囲分動く」

 

ということが大切になってきます。

 

つまり、、

肩甲骨は身体の位置付けから考えても、スタビリティー関節であり、安定性が必要な関節のため、安定化がまずは前提条件として必要になることを知っておく必要があります。

 

前鋸筋と外腹斜筋の筋連結

 

前鋸筋と外腹斜筋は筋連結をしています。

前鋸筋が作用するかしないかで体幹機能にも関与してくるということ。

 

前鋸筋の作用として、、

肩甲骨のプロトラクション(前方突出)があります。

 

この前鋸筋の作用を肩甲骨の側面からではなく、

肋骨の側面から見つめてみると、肩甲骨に対して肋骨を反対側に回旋させるという役割があります。

 

臨床で、翼状肩甲骨などで肩甲骨が浮いている方がよくおられますが、もしかしたら前鋸筋によるプロトラクションの機能や胸郭を反対側に回旋させる機能、外腹斜筋による安定化機能の低下なども考えられます。

 

運動療法などで、前鋸筋のトレーニングと合わせて外腹斜筋のトレーニングも合わせて行うことで筋連結を活かしてアプローチをすることが出来るので効果的かもしれないですね。

 

肩甲骨のマルアライメントの捉え方

 

  1. 肩甲骨周囲筋の筋力が弱い
  2. 肩甲上腕関節の可動域が狭い
  3. 胸郭の可動域が狭い
  4. 拮抗筋のタイトネス
  5. 協調筋が作用してない
  6. 構造上の問題

 

肩甲骨のマルアライメントの捉え方として、、

肩甲骨が安定出来ていない=肩甲骨の安定筋(前鋸筋やカフ機能が弱い)

 

と捉えるのではなく、、

なぜ、肩甲骨が安定出来ないのかということを考える作業が必要です。

 

例えば、、

肩甲上腕関節を動かしたいがために、肩甲骨をわざと不安定な状態にしているということも考えられます。

この場合であれば、原因は肩甲骨ではなく、肩甲上腕関節の可動性です。

 

腱板断裂など、構造的に器質的に壊れていることが原因でマルアライメントが起きている場合には理学療法士が治せる問題ではないというケースもあります。

 

肩甲骨のマルアライメントという1つの現象についても色々と問題があるということを知って頂ければと思います。

 

前鋸筋の働きを阻害する筋肉

 

前鋸筋の作用を考えると、、

「上方回旋」「後傾」「下制」の3つの動きを出すことと肩甲骨と肋骨間を安定させることが前鋸筋の役割。

 

この役割を阻害する筋肉として…

  1. 菱形筋
  2. 小胸筋
  3. 肩甲挙筋
  4. 僧帽筋上部
  5. 大胸筋
  6. 広背筋

 

上記の筋肉が特に前鋸筋の働きを阻害するケースが多いです。

 

特に、最も臨床上で問題になりやすいのが「小胸筋」です。

 

前鋸筋の拮抗筋は菱形筋といわれていますが、

小胸筋に関しても、肩甲骨を前傾方向に動かして、下方回旋させる作用があります。

 

現代人はスマホやデスクワークなど身体の前面の筋肉がただでさえタイトネスになっていることが多いため、

小胸筋が固まっている方が非常に多いです。

 

この前鋸筋が作用と真逆に作用する筋肉でもあるため、前鋸筋の機能不全が結果的に起きているというケースも少なくなく、小胸筋のタイトネスを改善するだけでも肩関節の機能改善が出来るケースも今までも多々経験してきました。

 

小胸筋が原因としては多いですが、

  1. 作用が拮抗する筋肉
  2. アウターマッスル

この2つによる原因が大きいため評価する時のチェックポイントです。

 

前鋸筋の運動療法について

 

前鋸筋の運動療法①

 

 

前鋸筋の運動療法②

 

 

前鋸筋の運動療法③

 

前鋸筋の運動療法④

 

前鋸筋の運動療法⑤

 

前鋸筋のスイッチをオンにするコツ

前鋸筋を効かせるイメージとして、、

「肩関節外旋の動き」と「肩甲骨下制の動き」を意識することで前鋸筋にスイッチが入りやすくなります。

 

  • 前鋸筋
  • ローテーターカフ

この2つにスイッチを入れることがポイントです。

 

まとめ

 

前鋸筋は肩関節において最も重要といってもいいくらいの筋肉です。

 

前鋸筋が硬くなっているということはありますが、、

多くは、普段から使えてなくて硬くなっているということが多いでの、機能を抑制するというよりかは、しっかりと収縮を入れていくトレーニングや運動療法が必要になってくるのが前鋸筋です。

 

ではでは♪(´ε` )

 

 

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