マラソンランナーの股関節痛アプローチ

今回は、実際の臨床の症例報告。
実際の画像や動画はありませんが、評価〜治療の流れなど解説しているので参考になればと思います。
目次
症例について
60歳代男性。
先月の2月に開催予定であったマラソン大会に出場するため、去年からマラソンの練習を始めていたが、徐々に股関節に痛みが生じてきて練習が困難となり、マラソンも棄権した。
初回の施術が3月中旬。
主訴:左股関節の前面に疼痛(鼠径部周囲)
「特に、マラソンなどのランニングを行う際やしゃがみ込み動作にて痛みが強く生じる。」
理学所見について
- スウェイバック姿勢
- 骨盤前方シフトによる股関節外旋アライメント
- 静止立位が明らかな左重心
- 歩行・走行にて左下肢が蹴り出し脚
- 歩行でのstance phaseでの体幹同側側屈
- 純粋な股関節伸展可動域低下
- 左骨盤アウトフレア
- 左骨盤やや前傾アライメント
- 体幹の右回旋アライメント
- 仙骨アライメント異常(尾骨左シフト)
- 左臀筋群の萎縮
- 大腿前面筋群・股関節前面筋群タイトネス
- 前屈動作では疼痛なし(陰性)
- 後屈動作にて大腿前面〜鼠径部に疼痛あり
- 立位での体幹右回旋にて左鼠径部痛あり
- インピンジテスト陽性
股関節の局所的な評価や、スタティック評価、ムーブメント評価を行いながら、原因を探っていきました。
仮説検証の流れ
上記の様な理学所見を得た上で股関節痛の原因因子を考えました。
ムーブメントの評価にて後屈動作や体幹回旋動作において、股関節前面痛が生じることもあり、スウェイバック姿勢で骨盤前方シフトがあるため股関節前面筋群のリリースを行いました。
縫工筋や大腿直筋、大腿直筋ーTFLの筋間などの癒着や腸腰筋と鼠径靭帯間の滑走不良もあり、リリースを行っていくことで確かに痛みは来院時より改善しました。
でも、まだ残っている。
股関節前面組織の疼痛は結果であって、もっと他に原因がある。
姿勢や歩行や局所の関節アライメントから考えて原因考えました。
骨盤が常時外旋アライメントにあって臀筋群の萎縮によって骨頭が前方シフトしている。
しかも、股関節のインピンジテスト陽性。骨盤もアウトフレア。
後方の臀筋群の滑走不良によって、骨頭の前方シフトによってより股関節が外旋アライメントになっていることで、前方組織が相対的に伸張される状態になっていた。
後方組織の特に外旋六筋群の筋間リリースや中臀筋ー小臀筋間、大臀筋の硬さを取り除くことで股関節内旋可動域が向上することで前方組織のタイトネス改善。
後屈動作や体幹回旋動作をしても疼痛なし。
歩行時の疼痛も介入時が10だとしたらほぼ違和感がないレベルまで改善。
徒手療法を行った後に…
運動療法にて運動学習を実施。
運動療法アプローチについて
股関節はめ込みエクササイズ
ヒップアップエクササイズ
リアスクワット
この辺のエクササイズを行い臀筋群の伸張性を出しながら収縮を入れていける様なエクササイズを選択して行うことで、より徒手療法を行った時より効果的でした。
まとめ
という感じの臨床の症例報告でした。
もっと早く原因に辿り着ける様にトレーニングしていきます♪( ´θ`)
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