上半身・下半身の質量中心位置から考えた理学療法アプローチ戦略。

理学療法士に必要な能力。
- 動作分析
- 姿勢評価
- 運動療法
などなど…
でも、大事なのは分かっているけど実際にやるとなると難しい。
そんな時に知っておけば、考えが整理しやすくなるのが「身体重心」です。
身体重心というと難しいイメージがあるかもしれませんが、簡単に捉えることができ、シンプルに考えて臨床に活かすことができます。
今回は、身体重心について解説し、身体重心の考え方を臨床に活かす方法までご紹介します!!
目次
身体重心と上半身・下半身の重心位置
身体重心と上半身・下半身の重心について全部似たように感じるかもしれませんが全て違います。
人間の身体は、上半身と下半身にユニットが分かれています。
そして、それぞれ上半身と下半身を別のユニットとして見た時に、それぞれ重心位置が存在する。
つまり、質量の中心位置です。
この質量重心位置…
- 上半身 → Th7〜9
- 下半身 → 大腿骨1/2〜近位1/3の中点
この上半身・下半身の重心位置のポイントがとても重要。
そして…
上半身と下半身の重心位置の中点付近の場所のことを「身体重心」といいます。
静止立位の場合であれば、第2仙骨の前方です。
重心位置の評価・治療のポイント
この重心質量中心位置を評価・治療していくときのポイントですが…
- 上半身の重心 → 胸椎レベルの動き
- 下半身の重心 → 股関節の動き
つまり、胸椎レベルと股関節の動きの幅によって、身体重心の状態が決まるということです。
重心というのは、小さい幅で動くより、より大きく様々な方向に動かすことができた方が、動作のパフォーマンスも向上しますし、バランス能力も良い状態だといえます。
そのため、身体重心の視点から動作や姿勢の評価を行う時には…
- 胸椎レベルと股関節の動きの評価
- 胸椎レベルと股関節の位置関係
この2つのポイントを中心に評価することが大切になってきます。
上半身・下半身の重心位置から見た身体重心の変化
身体重心の位置は、上半身・下半身の位置関係で決まる。
例えばですが…
骨盤が後方変位した場合であれば、上半身の重心位置は必然的に前方に変位します。
つまり、股関節伸展方向。胸椎伸展方向に動くということ。
臨床で、股関節伸展制限がある人の多くは、胸椎レべルの伸展が出なかったり、回旋に制限があったりしているケースが非常に多いです。
臨床に多いのがこのパターン。
股関節や膝関節の伸展が入らず、常時屈曲位で体重支持している。
股関節が屈曲位になっているということは、下半身の重心位置は前方に変位していることになります。
臨床でも、股関節や膝関節が屈曲位になっている人の多くが、円背や猫背姿勢になっている人が多くないでしょうか?
下半身の重心位置が前方変位することで、必然的に上半身の重心位置は後方に変位して胸椎レベルが屈曲位のモーメントが働き続けるという状態になってしまいます。
だから、もしこのようなケースがあれば…
上半身も下半身も後方に重心がある。
実際の臨床ではほとんどないですが、
もしこのような状態であれば、身体重心も後方に変位するため後方に転倒したり、バランスを崩すという状態になってしまいます。
臨床現場における身体重心アプローチ
じゃあ、臨床現場ではどうすればいいのか?
- 胸椎レベルの動きを出す
- 股関節の動きを出す
屈曲にも伸展にも大きく動きの幅があることが大切ですが、特に胸椎・股関節の両方ともに伸展・回旋系の動きが重要になってきます。
筋肉名で言うのであれば…
- 僧帽筋中部繊維
- 多裂筋
- 腹横筋
- 腹斜筋群
- 大腰筋
- 腸骨筋
この辺の筋肉がポイントになってくるので、中心的に評価・治療していくことが重要になってくるかと思います!!
まとめ
姿勢や動作分析をする際に、どこを見ていいか分からないと思っていたり、複雑に考えたりすることで余計に混乱をしてしまうので、できるだけ評価はシンプルに行えることが重要になってきます。
この身体重心の考え方も臨床で是非参考にしてみて下さい!!
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