外側縦アーチの重要性について。

今回は、足部のアーチ機能について。
その中でも、外側縦アーチについて解説します。
文献や参考書でも内側縦アーチについては重要視されている文献も多いですが、外側縦アーチについては内側アーチよりは触れられていることが少ないように感じます。
しかし、臨床上は外側縦アーチが機能していない人も数多くいるため、外側縦アーチの機能や役割などを理解しておく必要があります。
といったところで、
今回は外側縦アーチについて解説していきます。
目次
足部のアーチ機能について
足部のアーチ機能には内側・外側・横アーチが存在します。
どれも大事なアーチなのは間違い無いですが、どうしても注目されがちなのが内側縦アーチですよね。
ハイアーチとか扁平足とか、アーチ機能が高いか低いかの基準としてみられる部分の多くが内側縦アーチの高低での判断です。
しかし、本来であればアーチ機能は、内側・外側・横アーチに分かれており、機能としてもそれぞれ異なる訳なので、専門家としてはアーチ機能をそれぞれ別々に評価できるスキルが求められます。
そして、今回は外側縦アーチに絞った話をしていきます。
外側縦アーチの構成要素
※動画で外側アーチの構成要素とポイントについて解説してます。
踵骨
|
立方骨
|
第4、5中足骨
上記の様に構成されています。
立方骨がかなめ石。
関節としては、踵立方関節がキーになる関節になります。
構成関節としては、
・距骨下関節
・踵立方関節(ショパール関節外側)
・外側リスフラン関節
筋肉としては、
・長腓骨筋
・短腓骨筋
・小趾外転筋
これらで構成されているのが外側縦アーチです。
外側縦アーチ構成のキーポイント
上記の動画でも解説していますが、、
アーチ機能として注目されやすいのが、内側縦アーチですが、足部の関節の構成を考えてみても、ショパール関節・リスフラン関節など内側だけではなく、外側もあるわけで、外側を構成しているのが外側縦アーチです。
つまり、足部外側を構成しているのは外側縦アーチのため、外側での体重支持が出来るか出来ないかは外側アーチの機能に関わってきます。
この外側縦アーチの保持に関わるのが上記に記載した通り、、
・長腓骨筋
・短腓骨筋
・小趾外転筋
この3つの筋肉になるわけですが…
この中でも特に重要なのが、、
小趾外転筋です。
腓骨筋群がアーチ形成に重要なのは昔から言われていましたが、
最近の文献では、腓骨筋などの外在筋群よりも小趾外転筋である足部の内在筋群の作用が重要視されてきてます。
小趾外転筋の作用としては、、
小趾の外転と屈曲の作用があります。
この小趾外転筋の作用が外側縦アーチを形成する上ではキーポイントになってくるため、小趾外転筋がしっかり作用する骨配列を作ったり、足趾の運動療法やエクササイズをやっていく必要があるわけす。
豆知識として知っておいて欲しいんですが…
足部の内在筋と外在筋は両方ともに足趾の動きに関与しますが、
・末節骨を屈曲した状態での足趾屈曲では外在筋優位
・末節骨を伸展した状態での足趾屈曲は内在筋優位
このように言われています。
これらのことを踏まえて、、
足部の外側縦アーチを見ていく時のポイントは、、
「第5足趾」にあることが理解できると思います。
実際の健常者の足部を診てみる
上記のことを理解した上で下記の画像見て下さい↓↓
上記の画像は、、
足底もタコがなく綺麗で、別に痛みも無い健常の足部です。
でも、足部全体を診て診たら、、
第4〜5足趾だけ内側に巻き込んだ状態になってるのはお分かりでしょうか??
この画像の人だけではなく、多分多くの人が、第4〜5趾は他の足趾に比較して伸展してないのが分かると思います。
この第4〜5中足骨は外側アーチ形成にもろに関与します。
つまり、この上記の画像のような足趾であれば、外側縦アーチの構成に必要な小趾外転筋も作用しにくい状態であり、外側アーチ機能としては十分とは言えず、実際に触ってみても立方骨が落ち込んだ状態にありました。
足底も綺麗で、痛みなどの全く症状がない人の足部でさえこのような状態であるため、患者さんなど下肢に痛みがある人の足部がどんな状態にあるかなど想像付きますよね。
まあ理想の足部はこんな感じです↓↓
足ってさ
ホントに大事だと思うんだ
出来る人の出来る理由と
出来ない人の出来ない理由が
詰まっていると思うんだ
背骨の柔軟性とか
骨盤内部の弾力だとか
お腹の筋肉が柔らかいとか
結局なぜそうなるのかって突き詰めたら
足なんじゃないのかな pic.twitter.com/Cb6YMi7Z6U
— 西園美彌 (@miyanishizono) June 6, 2019
自分もここまで足趾動かないので偉そうなことは言えませんが、、笑
理想はこんな感じです♪( ´θ`)
この足部はこの前お会いした西園さんの足部です。
外側縦アーチの評価方法
※動画で解説しているのでご覧下さい↑↑
足部のアーチの評価を客観的に行うことは難しいと言われています。
その中で、アーチが高い・低いやアプローチする際にもどこまでアーチを上げたらいいかなど基準が分からないことが多いため曖昧になっている部分が多いのが現状です。
客観性のある評価をすることが難しい中でアーチの評価を行っていく必要があるため、出来るだけ多くの所見を取って判断することが必要になります。
上記の動画で解説していますが、ポイントとなる部位や方法など紹介します。
原則として、視診と触診が基本になってきます。
・骨配列を確認する
・立方骨の位置の評価
・第5中足骨底と第5中足骨頭の位置関係
・筋力評価(腓骨筋群・小趾外転筋)
・荷重位、非荷重位での評価
・ワンレッグでの荷重
上記の様な評価項目を合わせながら判断することです。
疾患から考える外側縦アーチ
※疾患と外側縦アーチの関連性を動画で解説してます。
動画では膝関節疾患を例に話をしてますが、、
【足部と股関節の関連性】
・距骨下関節ー長母趾屈筋ー股関節屈筋
・第一列ー長・短母趾屈筋ー股関節伸筋
・立方骨ー長腓骨筋ー股関節外転筋
・舟状骨ー後脛骨筋ー股関節内転筋例えば…
ST関節の動きに制限があったり、長母趾屈筋に機能不全があると、股関節屈筋の過剰な活動や機能不全に繋がる。— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) October 4, 2018
足部と股関節には関連性があり、立方骨など外側縦アーチを構成する部分であれば、股関節外転筋や腓骨筋など外側のラテラルラインであったり、前額面上の姿勢制御に関与するのが外側縦アーチになります。
例えば、動画でも解説してますが、、
変形性膝関節症の患者さんは外側での支持ができなくなっている結果として、ラテラルスラストなどが起きて、内反変形が助長されたりします。
そのため、前額面上での姿勢制御が必要になってきますが、前額面上の支持として、足部を考えた時には外側縦アーチが関与してます。
膝関節疾患を始めとして、前額面上での姿勢制御が困難となっている症例において、多い流れとして、、
上記の様な流れになっていることが多く、、
内側縦アーチの破綻や横アーチの破綻も伴っていることが多いため、アプローチとして内側アーチや横アーチを引き上げるアプローチを行うこともあるかと思いますが、内側縦アーチや横アーチの破綻は結果因子であることもあり、
原因因子は外側縦アーチであるケースも多いです。
そのため、内側縦アーチ・横アーチへのアプローチを行う前に外側縦アーチのアプローチを行った方が効果的ということも文献でも書かれてたりすることなので参考になればと思います。
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