姿勢の捉え方と評価方法!!〜姿勢はシンプルに診ることがポイント〜

セラピストに必要な能力の1つ。
動作分析。姿勢分析。
でも、よく聞く声として、
・どこを見たらいいか分からない。
・姿勢・動作の異常から何を考えたらいいか分からない。
・評価の進め方が分からない。
などなど…
今回は、その動作分析・姿勢分析ですが、姿勢を中心に解説していきます。
動作分析も姿勢分析もシンプルに捉えて考えることが理解するポイントです!!
目次
姿勢を診る理由
姿勢分析や姿勢を評価するためには、
まずは、なぜするのかという理由を理解しておく必要があります。
姿勢を評価・分析する理由。
姿勢は、動作の特徴や筋力・関節可動域などの機能障害を理解する指標になります。
そして、姿勢が悪いということは、どこかに集中的にストレスが掛かっているということなので、長期的に見ても痛みなどの、慢性的な症状に繋がり悪循環に至る場合がよくあるため、姿勢を評価し修正していくことは重要なこと。
臨床では、MMTや関節可動域テストなどで筋力や関節の状態を評価します。
そして、寝返り動作、起き上がり動作、起立動作、着座動作、歩行などの基本動作に関しては動作分析を行うと思います。
姿勢は、臥位・座位・立位で見るのが基本ですが、姿勢を診ることで、その人の筋力やカラダの使い方を予想することができるので、筋力・関節可動域の評価や動作分析と合わせて診ていくことでより正確で、質の高い評価をすることができます。
姿勢を診る優先順位とポイント
姿勢を診るポイントですが、姿勢は3方向から評価していくことが必要。
- 矢状面
- 前額面
- 水平面
この3方向がありますが、どれか1ヶ所だけからではなく、全方向から3Dで診ていくことが大切とされています。
ですが、この中でも姿勢を評価していく上では優先順位が決まっており、
矢状面
↓
前額面
↓
水平面
この順番で姿勢を評価していくことがチェックするポイント!!
なぜか?
人間の動作は前後の動きが多いから!!
歩行にしても起立・着座にしても基本動作の多くは前後の動きであり、人間が生活していく上でも横に動くことは少なく、前に進む動きがほとんどを占めていると思います。
そのため、前後の動きで障害が生じやすい。
つまり、矢状面での問題が起きやすい。
ということです。
姿勢を評価する際の優先順位
矢状面 → 前額面 → 水平面
歩行にしても起立・着座動作にしても人間の動きは前後の動きがほとんど。
つまり前後の動きである矢状面に1番問題が生じやすい!!
— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) August 23, 2017
まずは矢状面を評価することが大事で、矢状面に異常があれば、次に人は、前額面に頼った姿勢制御をしようとする特徴があります。
つまり、矢状面に異常があれば前額面に影響し、前額面に異常があるということは必ず矢状面の姿勢の乱れは生じているということです。
水平面での評価は、回旋の動きが主になってきますが、回旋の動きも歩行や起立・着座動作では代償に使用しやすい動きのため、順番としては3番目の最後になっていますが、しっかりと回旋の動きも診ていく必要があります。
姿勢を診る優先順位とポイントを動画で解説
姿勢をシンプルに捉える方法(積み木に例えて考える)
姿勢を評価する際に、どこから診ていいか分からない。
といった人は多いのではないでしょうか??
この姿勢の診ていき方ですが、
姿勢は積み木に例えて考えると非常に分かりやすいです。
詳しくは動画で説明しているのでご覧下さい↓↓
誰もが一度は間違いなく積み木を使って遊んだ経験があると思います。
積み木はどんどん重ねていくことができますが、高くなればなるほどバランスが不安定になり、前後に少しズラしたりして高く積み上げた積み木が崩れないように調整していきますよね?
人間の身体は積み木のように重なった状態で、身体全体の部位を使ってバランスをとっています。
そして、人間の身体に唯一接している場所は足底面であり、積み木であっても1番下の積み木になってくるので、前後のバランスを調整して、1番最下端の部分にどれだけ良い刺激、安定した刺激を与えてあげるかが姿勢が安定するか不安定になるかの違いになってきます。
・前方の重心 + 後方の重心 = 足底面への感覚情報
これは、左右の前額面でも同様です。
・左方向への重心 + 右方向への重心 = 足底面への感覚情報
そして、積み木はまっすぐ1直線に積み上げていくより、多少前後へズラした方が高く積み上げることができますし、安定すると思います。
これが、人間の身体に例えると、脊柱の生理的湾曲です。
人間の脊柱を考えてみても、頚椎が前弯・胸椎は後弯・腰椎は前弯というように交互になっています。
積み木も同じで、多少の前後がある方が積み木を積み上げていった時に安定します。
しかし、この積み木の前後や脊柱の彎曲が過度になってしまったり、消失してしまったりすることで積み木が崩れやすくなる。人間の身体に例えたら転倒しやすくなりバランスを崩しやすくなるということです。
円背・猫背を例に姿勢を解説
よくある姿勢の1つに円背、猫背があります。
この円背ですが、誰でも診て直感的に感じるのが、おそらく「背中が丸まっている」ということだと思います。
「背中が丸まってる」
これは確かですが、おそらく円背の人の姿勢は背中が丸まっていることだけではないと思います。
首や頭が肩より前方に出ていたり、膝が常に曲がっていたりすると思います。
おそらくこのような姿勢になっている人が多いのではないでしょうか?
胸椎が後ろに下がった分、頚部と膝関節を前方に出す。
積み木であれば、積み木を後方に置いた分、前方に積み木を置いてバランスを保つ。
でも、円背の人でも胸椎が過度に後弯しているからといって、本当に胸椎の後弯が原因かは評価・治療を進めていかなければ分からない部分があります。
もしかしたら、膝が伸展できないことが原因で胸椎が後弯しているケースもありますし、頭部が前方に移動していることが原因で胸椎が後弯しているケースもあります。
だから、もちろん胸椎の後弯の修正をするだけで他の部位の修正にも繋がることはありますが、ただ円背で胸椎の後弯が過度だから胸椎の後弯だけを良くすればいいという問題ではないということです。
円背・猫背の姿勢を診るポイントを動画で解説
姿勢と痛みとの関係性
痛みの訴えがある人は多いですが、姿勢と痛みの関係性は深いですし、痛みがある人で姿勢や動作を変えなければ、一次的な効果になってしまい継続した効果が望めないため、必ず姿勢の修正は必要になってきます。
この痛みと姿勢の関係性も積み木の話の延長線上になりますが…
例えば、変形性膝関節症で膝関節が痛い患者さん。
膝関節が常時屈曲位になりラテラルスラストなど出現しますよね。
こういった方にアプローチをしていく場合、
膝関節への局所へのアプローチをしていくのはもちろんなことですが、変形性膝関節症の患者さんは膝のラテラルスラストや屈曲位だけではなく、運動連鎖により、骨盤が後傾し、胸腰椎が後弯するということにも繋がっているはずです。
つまり、根本的に痛みが出ない状態を作っていこうと考えるのであれば、膝関節だけでなく、他の膝が前方変位・外側変位したことが原因で代償的にバランスをとっている部位の状態も修正していかなければ、根本的な改善には繋がりません。
膝関節だけのアプローチであれば、間違いなくその時良くなっても、数日後症状が戻ります。
姿勢と痛みの関係性を動画で解説
まとめ
- 姿勢は積み木に例えて考える
- 矢状面から姿勢は診ていく
- 前方の重心+後方の重心=足底の感覚情報
- 左方向への重心+右方向への重心=足底への感覚情報
- 根本的な改善をする場合は局所から全身を診ていく
もっと細かく姿勢を1つ1つの関節や筋肉の動きから考えていくことも大事ですが、まずは簡単にシンプルに捉えた方が理解しやすいことが多いです。
実際に人間の身体は積み木と同じような構造になっているので参考にしてみて下さいね!!
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