姿勢評価から見極める。ピラティスエクササイズの選択の仕方!!

セラピストの武器といえば、姿勢分析・動作分析。
臨床で姿勢分析や動作分析をしない日はないと思います。
そして、姿勢分析・動作分析をして、目の前で起きている現象に対して仮説を立ててアプローチして反応や変化を見ながら修正していくのが運動療法になってくると思います。
今回は、姿勢のパターンやタイプの評価から、どのように考えてリハビリと相性が良いピラティスのエクササイズを選択していくのかを解説します。
目次
姿勢の異常パターンの共通点
人は立って生活する生き物です。
立っている時に唯一接している場所は足底面のみ。
人間のカラダは、足底面への感覚情報によってバランスが良いか悪いかが決まってきます。
つまり、前後へのバランス。左右へのバランス。を取って調整しています!!
動画はこちらから
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姿勢のパターンと分類について
まずは姿勢のパターンの分類を知っておくことが大切です。
目の前にいる患者さんの姿勢をこの姿勢のパターンのうちどれに分類できるかという視点で観察・分析できれば、アプローチ方法も単純に考えることができます!!
1つずつ実際に解説していきます。
カイホーシス・ロードシス(Kyphotic/Lordtic)
- カイホーシス → 後弯
- ロードシス → 前弯
カイホーシスとロードシスという意味は上記のように、後弯と前弯という意味を表しています。
ハイパーカイホーシス、ハイポカイホーシス、ハイパーロードシス、ハイポロードシス。
(後弯の過大、後弯の過小、前弯の過大、前弯の過小)
こういった使い方をします。
そして、脊柱の彎曲の状態のことを表すカイホーシス・ロードシスですが、どちら共に腰椎の状態を表現することが多いです。
つまり…
- カイホーシス → 腰椎の後弯位(猫背)
- ロードシス → 腰椎の前弯位(反り腰)
こういうことです!!
カイホーロードシス
そして、このカイホーシスとロードシスが両方とも存在している姿勢。
それが、カイホーロードシス。
このカイホーロードシスは、
頚椎前弯が過大、胸椎の後弯が過大、腰椎の前弯が過大になっている状態のことです。
現代人には、ほとんど見られない姿勢ですが、たまにヨガをされている方や太っていて腰椎の前弯が過大(ハイパーロードシス)になっている方に見られる姿勢です。
フラットバック(Flat Back)
いわゆる平背。
フラットバックは、脊柱の生理的湾曲がなくなり、フラット(真っ直ぐ)になった状態。
この姿勢は、カラダの前面の筋肉が短縮し、後面の筋肉が伸張されたアライメントとなります。
このフラットバックは、他の姿勢と比較して脊柱の可動性は最も悪く、骨盤は後傾位になっておりお尻が垂れ下がっている状態になり、臀筋群やハムストリングスも短縮位になり機能していないケースが多いです!!
このフラットバックは、ピラティスで大切なニュートラルポジションの基準のASISと第10肋骨が平行になっていることが多いため、見逃されがちなため、実際に脊柱を触って、脊柱の生理的湾曲があるかを確認することが重要なポイント。
スウェイバック(Swey Back)
これが、最も現代人に多い姿勢。
ヘッドフォワードポスチャー(頭部前方変位)、胸椎後弯、骨盤前方偏移+中間位〜後傾位。
ピラティスでいう前方のニュートラルポジションである第10肋骨とASISの位置関係の破綻。
第10肋骨よりASISが前方偏移しているため、ニュートラルポジションが完全に崩れています。
このスウェイバックは、骨盤が前方変位するため、間接的に股関節が伸展位となり、臀筋群や股関節周囲筋も機能してそうに見えますが、実際は、腸骨大腿靭帯など靭帯の張力を使用した姿勢支持となっているため、筋群が使えない代償をしているだけの姿勢ということです。そして、第10肋骨よりASISが前方偏移しているということは腹直筋が短縮位・外腹斜筋が伸張位になっているということ。
スウェイバックは、骨盤がニュートラルなパターンもあるため、第10肋骨とASISを平行にした時のカラダの反応や大転子・膝関節・足関節を直列化した時の上半身のバランスの取り方などをみて姿勢を評価する必要があります。
実際に見ただけでは、スウェイバックなのか他の種類・タイプの姿勢なのか分からないことがあるため、実施に触ってみて、修正を加えた時にどんな反応を取るかなど見ながら評価していくことが重要です。
側弯型・側弯症
側弯症は、構造的側弯と機能的側弯の2種類に大きく分けることができます。
- 構造的側弯 → 椎骨の構造的な異常による側湾症。
- 機能的側弯 → 筋肉の左右のアンバランスや姿勢不良などから生まれた側弯症。
この2種類をしっかり分類することが大切。
セラピストとして構造的側弯にアプローチするのはかえって症状を悪化させたりする危険性があり、適応外です。それに対して、機能的側弯は、筋肉のアンバランスや動作の癖、不良姿勢から生じた側弯のため、セラピストの適応です。
この違いを理解せずに側湾症に対してアプローチするのは危険!!
判断の仕方、評価の仕方として、体幹前屈時に側弯部が浮き出てくるのであれば構造的側弯であり、前屈時に肋骨・椎体が浮き出てこない場合は機能的側弯であることが多いです。
そして、側湾症は左右のアンバランスが生じているので、左右のアンバランスを改善するエクササイズを提供することが大切!!
ピラティスエクササイズ選択のための評価ポイント
- 姿勢パターンの評価
- 実際のエクササイズでの代償を評価
- 特定の動作・基本動作で評価
- 生活スタイルの把握から評価(問診)
【ピラティスの臨床への活かし方】
姿勢を姿勢のパターンの分類から評価する。
弱化している筋肉。短縮・伸張されている筋肉を考えてエクササイズを選択する。
反応を見ながらエクササイズを修正していく。
仮説と検証の繰り返し!!
— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) October 16, 2017
こういったところでしょうか…
ピラティスは姿勢を評価してアプローチしていくことが一般的ですが、
他にも実際にエクササイズを提供してみた時の代償動作から使えていない場所・使いすぎている場所を予測して修正する。
そして、目的は人それぞれで、スポーツ動作・日常生活動作・基本動作など対象者のカラダの不調やエラーが生じている動作を実際にやってもらって評価する。
問診によって生活スタイルから仮説を立ててエクササイズを選択するのもアリだと思います。
動画での解説はこちらから
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ピラティスエクササイズの選択の極論
ピラティスのエクササイズを選択する上で、評価するポイントは上記で説明しました。
評価といっても何を評価してどうすればいいかって難しいですよね?
極論を言えば…
- 長くなっている場所(伸張されている場所) → 短くする(短縮位にする)エクササイズ
- 短くなっている場所(短縮位になっている場所) → 長くする(伸張位にする)エクササイズ
ざっくりしていますが、超簡単にいえばこれだけ。
動画での解説はこちらから
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だから、姿勢や動作パターンから短縮位になっているところ。伸張されているところ。
この2点をしっかり把握することは大切で、逆にこの2つが分かればエクササイズの選択も行いやすくなると思います。
スウェイバック(Swey Back)を例にピラティスエクササイズの選択
現代人に多い姿勢で在るスウェイバックの評価〜治療での考え方まで動画でまとめました。
動画はこちらから
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まとめ
- 姿勢の異常パターンは共通している
- 姿勢のタイプの特徴を理解する
- エクササイズを選択するための評価方法
- エクササイズで目指していく極論の話
- スウェイバックを例に評価〜治療まで
今回は、ピラティスや運動療法などのエクササイズの選択をする上で必要なことであったり、各姿勢のタイプを前回より深く解説させて頂きました。
是非参考にして頂ければと思います。
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