学校では教えてくれない。セラピストが知らない大殿筋の秘密!!

大殿筋の機能は股関節伸展・外旋。
学生の時であれば、これくらいの知識があれば、国家試験に合格出来て、実習でも何とかやりきれていたと思います。
でも、実際に臨床では股関節伸展・外旋だけ分かっていても一切適応出来ないのが事実です!!
今回は、学校の講義では習わない大殿筋の機能解剖学や臨床で使える大殿筋へのアプローチについてお伝えします。
目次
大殿筋のセラピストが知られていない機能
大殿筋の機能で股関節伸展・外旋は有名だと思います。
でも、実際に大殿筋は外転と内転の作用もあります!!
【大殿筋の機能】
・上部線維 → 外転
・下部線維 → 内転全体的には外転の筋活動が大きい。
歩行時の大臀筋は下部線維より上部繊維の筋活動の時間の方が長く、中臀筋と類似した活動パターンを示す。
— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) November 7, 2017
大殿筋は上部・中部・下部線維に分けられます。
上部線維と下部線維は真逆の作用をします。
例えば…
ブリッジ運動の時に股関節外転・外旋方向に動いてしまう人。
腸脛靭帯の短縮や股関節内転・内旋筋の筋力低下などを仮設すると思います。
確かにそのような原因がある事も事実だと思いますが、大殿筋下部線維は内転の作用があるため、もしかしたら大殿筋上部線維が優位に働いてしまい、下部線維が機能してない事も考えられます。
実際に臨床では大殿筋下部線維が働いていないこのようなケースが多いです。
大殿筋は内転作用より、股関節外転作用が強いため、外転方向へ動く力が優位に働いてしまうという特性はありますが、だからこそ内転作用が全く働かない状態になっているのも真実です。
ケースバイケースですが…
大殿筋に対するアプローチとして、伸展や外旋へはもちろんですが、内転作用がある大殿筋下部線維へのアプローチが重要になってきます!!
関節角度による大殿筋の機能変化
大殿筋でもどの筋肉でも共通して言えますが、筋肉は関節角度によって作用が変化します。
大殿筋の機能の股関節伸展・外旋作用も解剖学的肢位での話であり、実際に股関節が伸展位にあったり屈曲位、外旋位にあるだけで作用が変わります。
大臀筋・梨状筋の作用は股関節外旋。
でも、股関節90°屈曲位では、大臀筋上部線維・梨状筋は内旋作用に変わる。
大臀筋下部線維とその他の深層外旋筋群は屈曲角度が変化しても常に作用は外旋。つまり、股関節90°屈曲位での外旋制限には大臀筋上部線維・梨状筋も関与するということ。
— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) November 8, 2017
大殿筋は外旋作用がありますが、股関節の屈曲角度が増し股関節屈曲90°までになると、
大殿筋上部線維や中殿筋・小殿筋、梨状筋は内旋作用に変わります。
大殿筋は関節角度によって作用が変化します。
外旋作用は知っていても、実は股関節90°屈曲位では内旋作用に変わる。
動画での解説はこちらから
↓↓
例えば…
開排動作が制限されている患者さん。
ほとんどのセラピストが考えるのが、「内転筋群の筋緊張亢進。」
本当にそれだけでしょうか?
大臀筋上部線維に硬さがあるだけでも開排動作制限に繋がります!!
学生の時は、股関節伸展・外旋の作用さえ知っておけばOKでした。
しかし、臨床ではむしろそんな解剖学的肢位での作用だけを知っていてもほとんど使えません。
「各角度でどんな働きをするか」という事を知っている方が重要な知識となります。
股関節伸展のメジャー筋の3つの作用
【股関節伸展のメジャー筋】
大臀筋・ハムストリングス・大内転筋の3つ!!
・大臀筋は股関節が伸展位であればあるほど強く作用。
・ハムストリングスは屈曲30〜40°からの伸展で最も優位に作用。
・大内転筋は股関節屈曲角度が大きい程優位に作用。同じ股関節伸展筋でも関節角度で異なる!!
— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) November 9, 2017
股関節伸展のメジャー筋は、
- 大殿筋
- ハムストリングス
- 大内転筋
この3つの筋肉です!!
この3つの筋肉も関節角度によってどの筋肉が優位に働くかが変わります。
- 大殿筋:伸展域でメインに活動
- ハムストリングス:屈曲30〜40°からの伸展でメインに作用
- 大内転筋:屈曲角度が大きい状態からの伸展でメインに作用
臨床で、大殿筋を働かせるためにブリッジ運動をする。
こんな単純ではありません。
股関節伸展角度や膝関節屈曲角度も調節しなければいけませんし、よく見かける臨床でのブリッジ運動は臀筋群をほとんど使えておらず、背部筋群で代償しているケースが多い。そして、ハムストリングスが優位になる伸展exをしている人が多いです。
大殿筋を本当に働かせたければ、股関節をより伸展位で伸展と外旋を組み合わせながら行ったりする事でより作用しやすくなります。
筋力訓練もしっかりした正しい方法で訓練を行うと、何回も出来ないです。
正直まちゃめちゃ筋肉を使っている感覚が自分自身にあり疲れます!!
大殿筋を思いっきり緩める方法(治療技術)
臨床で、大殿筋に機能不全があり、大殿筋が使えていない人は非常に多いと思います。
そして、機能不全といっても多くは筋肉に硬さができるケースがほとんどです。
そこで、大殿筋の硬さを取っていきたい場面があると思います。
でも、「なかなか大臀筋の緊張を取ることが出来ない!!」
こういった経験をしているセラピストは非常に多いのではないでしょうか??
そこで、今回は大殿筋の緊張を効果的に取る方法をご紹介します!!
大殿筋を思いっきり緩める方法を動画で解説。
↓↓
まとめ
- 大殿筋は股関節伸展・外旋だけではない
- 関節角度によって作用が変わる
- 大殿筋を思いっきり緩める方法をご紹介
要は、解剖学的肢位のみの作用を知っていても臨床では使えないことの方が多いです。
解剖学的肢位から関節角度が変化する事でどのような作用になるかを考えることの方が大切です!!
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