抗重力位における正しい足底の荷重ポイント。〜拇趾球への荷重は間違いだった?〜

地球上で生きていく上では、重力に打ち勝つ力が必要です。
そして、人間が唯一地面と接している場所といえば足底です!!
この足底からの感覚情報を頼りに、全身を使ってバランスをとっていくわけのので、足底面の感覚情報の重要さはなんとなく理解できると思います。
ですが、現代人のほとんどが足底面の荷重ポイントが間違っており、セラピストであっても知らない人が多いのが現状です。
目次
現代人の間違った荷重ポイント
現代人は、足底の荷重をかけるポイント、体重を乗せる位置が間違っていることが多い。
それが繰り返されることで、変形や痛みや可動域制限に繋がり最終的には手術により改善をしようとするのが多いパターンです。
逆を言えば、足底への荷重ポイントが良ければ、その上の関節の膝や股関節にも負担が掛からず、変形や痛みが起きたりすることはなくなります。
拇趾球に荷重をすることの間違い
これは、セラピストでも知らない人が非常に多いですが‥
静止立位の際の足底の荷重ポイントを拇趾球と考えている人が非常に多いように感じます。
「もっと拇趾球に荷重をかけてください。」
こんなことをよく耳にします!!
ですが、静止立位で拇趾球に荷重を乗せることは体重支持をするポイントが間違っており、これを継続していくことで足部や下腿の変形や痛みに繋がったりしてきます。
では、どこに荷重を掛けていけばいいのでしょうか?
それを解説していきます!!
脛骨と腓骨の関係性と役割
荷重をするポイントは脛骨と腓骨の役割を理解しておけば自ずと理解することができます。
下腿には2本骨があることはご存知だと思います。
脛骨と腓骨の2本。
この脛骨と腓骨の役割。
・脛骨 → 体重支持
・腓骨 → 衝撃吸収・足関節の可動性
このように脛骨と腓骨では役割が全く異なります。
構造を考えたら分かると思いますが、腓骨より脛骨の方が数倍も太い骨です。
細い骨より太い骨で体重を支えた方が身体に対する負担も減り、骨の周囲の組織も正常に作用することができますが、現代人は腓骨で体重支持をしていることが非常に多い。
腓骨で体重支持することで、足底の荷重ポイントが変わり、腓骨の可動性がなくなることで、足関節や膝関節の可動域制限や変形になったり、腓骨頭の位置が下方にズレてきたりするわけです。
だから、まずは体重支持をする骨というのは脛骨側に掛けなければいけないということです!!
脛骨と腓骨の役割を動画で解説
脛骨の荷重をかけるポイント
上記の説明から、脛骨側で体重を支持しなければいけないのは理解できたと思います。
では、脛骨側のどこのポイントで荷重を掛けたらいいのか?
それは、脛骨の直下です。
足底の場所であれば、脛骨の内果から真っ直ぐ下に下ろした足底面です。
つまり、どちらかといえば、足底の後方であり踵骨に近い部分。
そして、この脛骨の直下の位置で荷重を掛けることができることで、ニュートラルなポイントとなり、前後左右どの方向にも効率よく動くことが可能となります。
足底への荷重ポイントを動画で解説
フロントレバーとリアレバーの関係性
脛骨直下から前方をフロントレバー。後方をリアレバー。
このフロントレバーとリアレバーから拇趾球荷重が望ましくない理由を解説します。
まず足底面が地面に全面接地しているとして、拇趾球に荷重を掛けるとどうなるか?
前方に荷重を掛けることで、重心落下点が支持点よりも後方に位置してしまうため、後方重心になってしまいます。
良かれと思って拇趾球に荷重を掛けることでどんどん後方重心となってしまうということ!!
反対に、リアレバー側である踵骨・距骨で体重を支持することができれば、自然とフロントレバーであるつま先側の力が抜けます。
つま先側の力が抜けていることでいつでも前方への推進力を生み出すことができゼロ加速度を生むことができます。
だから、基本的に荷重は脛骨の直下であり、踵骨寄りに荷重を掛けることが重要であり、拇趾球への荷重が必要になるタイミングとしては、股関節が伸展・膝関節が伸展した歩行の立脚後期〜前遊脚期のポイントのみです。
それ以外で、拇趾球に荷重を掛けてしまうとパフォーマンス低下に繋がるため、荷重を掛けるポイントは慎重に指導することが必要です。
まとめ
- 脛骨と腓骨の役割を理解する
- 体重を支持するポイントは脛骨の直下
- 拇趾球荷重が必要なのは、歩行の立脚後期〜前遊脚期のみ
- リアレバーとフロントレバーの理解
荷重を掛ける位置を変えるだけでも全身の状態が変わります。
そして、安易に拇趾球に荷重を掛けましょうとは言えなくなるはずです。
どこへ荷重を掛けると良い反応が出るかをしっかり評価していく必要があるので参考にして頂ければと思います。
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