歩行分析は蹴り出し脚と踏み出し脚に分けて分析することで視点が広がる。

今回は、歩行分析について。
歩行分析の仕方は、10人理学療法士がいれば、歩行分析の仕方や目の付け所は人それぞれであり、客観的に評価するのが難しいのも歩行分析だと思います。
そして、よくある歩行分析の方法として、
立脚初期・立脚中期・立脚後期に分けて評価する方法。
自分自身も立脚初期や中期、後期に分けて時系列で評価をすることが多いですが、他に歩行を診るポイントがあるかと聞かれたら、「踏み出し脚」と「蹴り出し脚」に分けて評価をすることが多いです。
目次
蹴り出し脚と踏み出し脚とは
人間は2足歩行です。
この2足歩行を行う際に、2足がリズムよく前後方向に動くことで、前方への推進力が生まれ歩行をすることが可能になります。
この下肢全体の屈曲と伸展の前後方向の動きから生まれるのが歩行ですが、この歩行での下肢の動きは、「踏み出し脚」「蹴り出し脚」の2つに分類することができます。
いくら正常な人で、痛みや身体に何の症状もない人であっても、左右の下肢が全く同じリズムで歩行しているということはまずありません。
必ずどちからの下肢が「踏み出し脚」でもう片方が「蹴り出し脚」になっています。
文章で書いていても分かりにくと思うので、、
まずは下記の動画を見てください↓↓
上記の動画では、、
- 右下肢:踏み出し脚
- 左下肢:蹴り出し脚
この様な歩行パターンになっています。
上記の動画では、、
- 右下肢:踏み出し脚
- 左下肢:蹴り出し脚
この様な歩行パターンになっています。
歩行の立脚相を通して、立脚前期が長いか立脚後期が長いか。
という判断基準でも分かりやすいかと思います。
- 立脚初期〜中期が長い → 踏み出し脚
- 立脚中期〜後期が長い→ 蹴り出し脚
この様になっていることが多いです。
症状部位から蹴り出し脚と踏み出し脚の仮説
歩行だけでいうのであれば、
・蹴り出し脚
・踏み出し脚この2つに着目して評価することも必要。
例えば、膝関節前面が痛い人であれば、痛みがある下肢は踏み出し脚になっていることが多い。
いくら正常歩行といっても、左右脚が全く同じテンポで、同じ動きをしてる人なんてまずいからね。
— 薬師寺 偲 Shinobu Yakushiji (@gmawgmaw) July 23, 2019
症状の部位から、歩行を診てなくてもある程度の歩行パターンを仮説することができます。
逆を言えば、歩行分析をして、「踏み出し脚」と「蹴り出し脚」を捉えることによって、どこに症状が出やすいかや怪我をするリスクがあるか。
といったことまで仮説を立てることが可能です。
大事なのは、、
どこにメカニカルストレスが掛かりやすいのかを考えて、蹴り出し脚で症状が出ているのであれば、踏み出し脚に変えること。踏み出し脚で症状が出ているのであれば、蹴り出し脚に変えること。
これらが大切になってきます。
踏み出し脚と症状部位
踏み出し脚である場合に、症状が出やすい部位(メカニカルストレスが掛かりやすい部位)と特徴
- 後方重心
- 股関節後方ストレス
- 膝関節前方ストレス
- 足関節前方ストレス
- 外側荷重(外方ストレス)(内反)
蹴り出し脚と症状部位
蹴り出し脚である場合に、症状が出やすい部位(メカニカルストレスが掛かりやすい部位)と特徴
- 前方重心
- 股関節前方ストレス
- 膝関節後方ストレス
- 足関節後方ストレス
- 内側荷重(内反ストレス)(外反)
例:変形性膝関節症の痛み
例題を出して説明しますね。
例えば、
変形性膝関節症で膝関節の前面〜内側に痛みがある。
よく臨床でもありますよね。
こういうケースの多くが、歩行のパターンとしては、痛みが生じている側の下肢は「踏み出し脚」になっていることが多いです。
蹴り出し脚にあるということが、外側荷重であり、股関節後方や膝関節前方にストレスが掛かりやすい特徴があり、後方重心になっていることが多いです。
必ずしも共通して当てはまっているわけではありませんが、多くの症例が症状部位と歩行の踏み出し脚と蹴り出し脚のパターンが一致してることが多いです。
この様に、歩行分析をする時に、「踏み出し脚」と「蹴り出し脚」をいう視点を付け加えるだけでも歩行分析の幅が拡大します。
まとめ
今回は、歩行分析について解説しました。
蹴り出し脚と踏み出し脚。
この2つのポイントを付け加えた歩行分析をしてみて下さい。
ではでは♪(´ε` )
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