柔軟性を効果的に獲得のための臨床ストレッチ!!

今回はストレッチについて。
ハムストリングスが硬い。
じゃあストレッチをしましょう。
こんなストレッチの指導とかしてないですか?
ハムストリングスが硬いからといって、上記の写真のような指導しか出来なければ素人でもできるレベルなので専門家として指導していく上ではもっと工夫していく必要があります。
そんなストレッチをするときの臨床での工夫を中心に解説していきます。
目次
ストレッチの効果について
- リラックス効果
- 筋肉や腱の柔軟性向上
- 関節可動域向上
- 血液循環の改善
- 筋緊張改善
- 心肺機能向上
- 疲労物質の蓄積改善
- 準備運動
- 筋肉や関節の怪我予防
ストレッチの効果として、上記のようなことが挙げられます。
実際にクライアントにストレッチを処方する際に目的によって、方法や種類など選択して行っていく必要がありますが、ストレッチの指導をセルフケアの指導に活用したり、治療中に活用したりすることによって症状の改善を図っていくケースも多いと思います。
実際に自分自身も臨床でストレッチの指導はしますし、セルフケアでストレッチを提示することもあります。
上記のような効果が期待できるためストレッチは使い方によっては効果的な手段の1つだと思います。
よくあるストレッチの間違い
- ワンパターン
- とりあえず伸ばせばいいと思ってる
- 目的が曖昧
- 場面によって工夫が出来てない
一般の方でも、セラピストでも多いのが、やり方がワンパターン。
ストレッチ = 伸ばすだけ
実際に臨床でも、ただ伸張するだけのストレッチは痛みを伴うことが多く、クライアントに治療をする際のストレッチも目的としていは、柔軟性改善が挙げられるが、返って防御性収縮を招いていてしまう場合も多いです。
ストレッチの種類について
まずストレッチには種類があることを知っておく必要があります。
大きく分類して上記のようなストレッチの種類があります。
臨床ではこの全てのストレッチ方法を状況やクライアントによって使い分けることが必要になります。
スタティックストレッチ(静的ストレッチ)
ストレッチといえば、スタティックストレッチと考えている人が多いのではないでしょうか?
Ib抑制を使って持続的に30〜60秒程度伸張するストレッチです。
伸張反射が出ないように注意して反動を付けずに伸張するのがポイント。
ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)
スポーツ選手のトレーニングプログラムで用いられることも多く、方法によっては高齢者でも活用することが出来ます。
静的ストレッチとは違い、ストレッチを掛けたい筋肉の拮抗筋の収縮を入れることにより、相反抑制(Ia抑制)の働きでストレッチ筋の弛緩を狙います。
ストレッチや関節可動域の向上にも使えるため、主導作筋だけでなく、拮抗筋もセットで考えてアプローチすることが必要になってきます!!
PNFストレッチ
PNFストレッチに関してはさらに細かく分類することができ…
・ホールドリラックス
・コントラクションリラックス
・スローリバーサルホールドリラックス
ホールドリラックスは、ストレッチをしたい筋肉に対して、持続的な等尺性収縮を入れ、等尺性収縮を入れることにより、収縮後の最大弛緩を狙ってストレッチをする方法です。
コントラクションリラックスは、ダイナミックストレッチと似ている部分がありますが、ホールドリラックスはストレッチを掛けたい主導作筋に掛けてストレッチを掛けたのに対して、コントラクションリラックスは拮抗筋に対して等尺性収縮を入れ、相反抑制の働きを使い、筋肉の弛緩を狙う方法です。
スローリバーサルホールドリラックスは、ホールドリラックス+コントラクションリラックスの混合型です。主導作筋と拮抗筋を交互に収縮させてストレッチを行っていく方法になります。
このPNFストレッチも臨床で用いることが多く、持続収縮や等尺性収縮を使うことも筋弛緩を狙う上では効果的なことがあります!!
バリスティックストレッチ
バリスティックストレッチは、施術者、もしくは患者自身が反動を付けながら筋を伸張させるストレッチ方法です。
バリスティックストレッチは、反動を付けるため、伸張反射を誘発しやすく筋損傷にも繋がり返ってストレッチ効果ではなく、緊張を上げてしまうデメリットもあることを知っておく必要があります。
スポーツのパフォーマンス向上を目的で使用されることが多いみたいです。
バリスティックストレッチに関しては、ストレッチで柔軟性を上げるというより、筋肉の伸張反射を促すことで筋発揮やパフォーマンス向上にフォーカスしたアプローチ方法だと思います。
臨床のストレッチのコツ
- 相反抑制を利用する
- Ib抑制を利用する
- 拮抗筋を理解する
- 等尺性収縮を利用する
- 筋膜Lineでストレッチを加える
- 運動連鎖を考える
- 2関節筋の影響
- 隣接関節の状態
- 起始と停止の位置関係
- 姿勢変化による関節作用
上記の10個を上手く掛け合わすことが出来れば、臨床でストレッチを行うときにでもセルフケアの指導を行う際にも変化を出しやすくなります。
スタティックストレッチだけがストレッチではないことを知ってもらい、変化を出す際にも色んな方法があることを理解しておく必要があります。
臨床場面を用いた例題
実際の患者さんでどのように上記の方法を活用していくかを紹介します。
例えばですが…
腰部の筋緊張が亢進して、脊柱のラウンドを出していく際に、腰椎の屈曲が出ないために、腰椎や骨盤のコントロールが低下しているケース。
Sway Back姿勢の人などに多い身体状態だと思います。
アプローチ方法としては様々ですが…
「単純に腰部の緊張を落としたい。」
ということを目的とした場合。
- エロンゲーションを出しつつ腹斜筋を使うex
- 腸腰筋の収縮を入れた相反抑制
- 胸腰筋膜に付着する筋群の静的ストレッチ
- 広背筋のダイナミックストレッチ
- 骨盤後傾の自動コントロールex
- 胸椎周囲の筋力ex
- 多裂筋、腰方形筋、脊柱起立筋のホールドリラックス
などなど…
方法はいくらでもあります。
ポイントとしては…
- 相反抑制
- Ib抑制
- ホールドリラックス
- コントラクトリラックス
この辺の生理的反応を上手く利用することで効果的に柔軟性が獲得できます。
まとめ
多くの一般の方やセラピストがやるストレッチがスタティックストレッチです。
もちろんスタティックストレッチも有効ですが、他の引き出しもあると使い分けが出来るため臨床の幅が広がると思います。
今回紹介したストレッチの方法を参考にして臨床をやってみて下さい。
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