運動療法の肢位によるアプローチ方法とエクササイズのバリエーションを増やす方法。

理学療法士であれば、徒手療法と運動療法を行うと思います。
自分自身も運動療法を必ずアプローチの時には入れながら理学療法を行なっています。
しかし、運動療法を行う時に、人によって取れない肢位や特定のポジションでエクササイズを行うしかない状況に出会うことは数多く経験すると思います。
そして、負荷量も人によって調整する必要があり、軽過ぎても強過ぎても良くありません。
対象者に適した運動療法の強度を選択する必要があります。
そこで、今回の記事に関しては…
- 運動療法の際の肢位のバリエーション
- 生理学を活かしたアプローチ
- 運動療法で活かしたい要素
こういったことをまとめた記事にします。
人間が取れる基本肢位ポジション
- 手術の影響
- 年齢的な要素
- 身体機能の要素
- 生活習慣
これらの影響によって、運動療法を行う際にもどんな姿勢でも出来るわけではなく、人によって取れる肢位と取れない肢位が存在します。
そのため、ある特定の肢位が取れなかった時に、「次どうするか」ということを考えて別の肢位を選択出来ることが必要です。
- 背臥位
- 腹臥位
- 四つ這い
- 側臥位
- 膝立ち(ニーリング)
- 片膝立ち(ハーフニーリング)
- 体育座り
- 長座位
- 体育座り
- 開脚
- あぐら姿勢
- 座位
- 立位
- 蹲踞姿勢(しゃがみ込み)
- スクワット(中腰)
- 片脚立ち(ワンレッグ)
- プランク肢位
- リバースプランク肢位
- 前方ランジ
- 後方ランジ
- 側方ランジ
ザッと挙げるだけでも、上記の様な肢位があります。
基本肢位を覚えることがまず重要となります。
基本肢位から運動を展開していくため、運動のバリエーションを広げるためには、まずは基本となる肢位をどれだけ挙げることができるかがポイントになってきます。
例えば…
- 背臥位という姿勢から股関節を曲げることが出来る
- 体育座りから腕を挙げることが出来る
- 膝立ちから脚を踏み出すことが出来る
- 四つ這いから手を挙げることが出来る
- 立位からしゃがむことが出来る
この様に、どの運動においても、まずは基本となる肢位が存在してそこから手を挙げたり脚を下げたり運動の広がりが生まれます。
だから、バリエーションがある運動療法を行うためには、基本肢位を知ることが必要条件になるわけです。
生理学を活かした運動療法アプローチ
※詳細は動画をご覧下さい。
運動学や解剖学は勉強をすれば、そのまんま臨床現場に活かせることが多いですが、生理学に関しては、中々臨床に活かしにくい部分やとっつきにくい部分があると思います。
そこで、実際の運動療法を行う際に使える生理学的な反応を活かしたアプローチについて紹介します。
- 相反抑制(Ia抑制)
- Ib抑制(ゴルジ腱器官反射)
- ホールドリラックス(最大収縮後の最大弛緩)
- コントラクションリラックス
この上記の様な生理学的な人間の身体の反応を使って運動療法を行います。
例えばですが、、
- ハムストリングスの柔軟性を上げるために拮抗筋の腸腰筋の運動療法
- 大腿筋膜張筋の筋弛緩を狙った等尺性収縮を利用したホールドリラックス
- 大腿四頭筋収縮後のハムストリングスの持続ストレッチをを混ぜたコントラクションリラックス
などなど…
運動療法の方法もいくらでもあります。
運動療法のバリエーションの増やし方
- 支持基底面(広い・狭い)
- レバーアーム(長い・短い)
- 課題数(多い・少ない)
- レンジ(関節角度変化)
- 収縮形態(求心性・遠心性・等尺性)
- 運動スピード(速い・遅い)
この上記の様な項目を意識してアプローチすることで、運動負荷を自由自在に変えることができて、運動療法のバリエーションを限りなく増やし続けることが出来ます。
上記のリバースプランクというピラティスエクササイズの動画を例に6つの項目を考えてみましょう。
1.支持基底面
まず開始肢位として、お尻を付いている状態からお尻を浮かしていくわけなので、支持基底面を地面から外すことになります。その分、負荷量が増加します。
膝関節を90°屈曲させた状態にしていますが、下肢を伸展させた状態の方が足底で支持できない分、支持基底面が減少します。
2.レバーアーム
膝関節を90°屈曲させた状態にしていますが、下肢を伸展させた状態の方がレバーアームが長くなるため負荷量が上がり、膝関節を屈曲するほどレバーアームが短くなるため負荷量は減少します。
3.課題数
動画では、「お尻を持ち上げる」という課題数は1つですが、もしも課題数を増やすのであれば「お尻を持ち上げる」+「手を上げる」や「お尻を持ち上げる」+「脚を上げる」など課題数を増やすことが出来ます。
4.レンジ(関節角度)
動画では、肩関節最大伸展位までお尻を持ち上げることで動かしていますが、お尻を最大まで持ち上げないことで肩関節の伸展可動域も減少します。この様に関節の角度も調整しながらエクササイズも行うことが可能です。
5.収縮形態
リバースプランクでは、大胸筋など肩関節前面の筋肉が伸張されながら遠心性収縮をします。背面の筋群や大殿筋は求心性収縮を行います。
6.運動スピード
運動スピードはそのまんまで、早くするか遅くするか。
どの筋肉を鍛えたいのか。対象者はどんな使い方が必要なのか。運動療法の目的は何なのか。
こういったことを意識して運動スピードを考慮したエクササイズを行うことです。
まとめ
- 基本肢位を数多く引き出せること
- 生理学的な反応を活かした運動療法
- 運動療法のバリエーションの増やし方
この3テーマについて解説しました。
この3つを意識するだけでも、運動療法の質も向上するので参考にしてみて下さい。
ではでは♪(´ε` )
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